だい18 ザシキボッコのクリスマス
 ザシキボッコに、クリスマスは、ありません。
 ひとりさびしく屋根やねうらで、ゆきふるおとをきいています。
 ゆきばんごがやまからおりてきて、のっそりもっそり、ゆきらせます。
「プレゼントなんて、おいら、ちっともほしくないや。
ああ、いらないとも。おいら、人間にんげんじゃないもの」
 ザシキボッコがうそをつくと、から、ぽろっとなみだがでるのです。
 プレゼントなんて、おいら、ちっともほしくないや」と、いったん、ぽろり、なみだがこぼれちました。
 ゆきばんごもいなくなって、よるはしんしん、ふけていきます。
「マリアさまなんて、このにいるわけないんだ」
 ザシキボッコが、つぶやいたとき、リスが一匹いっぴき、するり、屋根やねのうらへはいってきました。
「はい、プレゼント。やまのマリアさまから」
 リスは、ザシキボッコのだいすきな、やまを、たくさんっててくれました。
おそくなってごめんね。くまのコロちゃんが、かぜぎみで、
やまるのがおくれたんだよ。でも、きていてくれてありがとう」
「コロちゃんもているのか」
「うん。そとっている」
 ザシキボッコがそとてみると、いつもすもうをとるなかよしのコロちゃんが、おおきなマスクをしてっていました。
「プレゼントありがとう。かぜがなおったら、また、すもうとろうね。」
 コロちゃんはゴホンとせきをしてから、うなずきました。
やまのみんなによろしくね。をつけてかえってね」
 そういいながら、ザシキボッコは、おもわずいてしまいました。
「へんだな、ぼく、うそなんかついていないのに」
 やまに、ぽろぽろなみだをこぼしながら、ザシキボッコは「へんだな、へんだな」と、つぶやいておりました。


(昭和六十年十二月 岩手日報夕刊に掲載)