だい17 ゆめすずめ
 おやまにちゅんちゅく、おやなしすずめが、いっぴきおりました。
やっとことべるすずめに、こがらしいてはとべません。
 ちゅんちゅく、ないてばかりいるすずめを
はげますように、おさましずむと、ほしがきらきら
かがやいて、すずめのおやどをてらします。
 はらぺこすずめに、のみが「わたしをたべて」と
はらり、おちてきてくれました。
 すすきが、「はっぱのうえに、わたしをしくと、あったかくなるよ」と、こがらしいたとき、とんできてくれました。
 ぶどうのはっぱが「あめゆきったら、やねのかわりにしてね」と、いってくれました。
つきさまがのぼると、ソソラソラソラ、うさぎがとくいのダンスをおどってくれました。
 みんなやさしいおやまのともだちいっぱいいるのに、すずめはやっぱりさびしいのです。
 おやはなくてもそだつというけれど、
ちゅんちゅくおやなしすずめ、いつもないています。
 なきなきねむったゆめのなか、
とうさんかあさんすずめににあいました。
 ごちそうたべて、あったかいかあさんのむねのなか、
すずめぐっすりねむります。
 ゆめのなかでは、なくことなんか、ありません。
すずめは、それから毎日まいにちゆめみるようになって
とうとうゆめすずめになりました。
 ゆめのなかで、こんやは、すずめの結婚式けっこんしきがおこなわれます。
 おやまのともだちが見守みまもるなか、タキシードにをつつんだすずめは、しあわせで、むねがはりさけそうでした。
 おやまは、しんしん、ゆきりつもり、みんながさむそにねむるそのなかで、すずめいっぴきしあわせな、ゆめのつづきをみています。

(昭和六十年十一月 岩手日報夕刊に掲載)