だい15 ひとりぼっちのおつきさま
 ひとりぼっちのお月さまと、ひとりぼっちのぼうやがおりました。ぼうやは、なんとかしてお月さまのところへ行って、遊んであげたいけれど、あんまり高くて行けません
 かくれんぼしましょうか。
 「もういいかい」
ぼうやが、お空にむかってさけびます。
「まあだだよ」といいながら、お月さまは、小さな雲にかくれます。「もういいいよ」とお月さまは、うれしそうな声でいったけど、下からみあげると、頭が雲からはみだして、まぶしいくらい。
 「お月さまみいつけた」
 「おやおや、にんげんのぼうや、どうしてわかったのかな
うまく、かくれたつもりだったのに」
 「こんどは、ぼくのばんだよ」
ぼうやは、くりの木に、かくれます。
 「もういいかい」
 「もういいよ」
 お月さまは、ぼうやがかくれた場所を知っています。
くりの木に、ちょっぴり光をあてれば、ぼうやのあにょが見えるでしょう。
いえいえ、それでは、ぼうやがまぶしすぎて困るでしょう。
 

        
(昭和六十年八月 岩手日報夕刊に掲載)