だい12 カミナリったそのあとで
 おいらはカミナリ、ゴロゴロさまだ。
おへそをだしてるはいないかな。くっちゃうぞ。
 おいらは、おへそがだいすきだ。
ピカーッといなずま、それけゴロゴロ、ドカーン。
 雷雨らいうだ、雷雨らいうだ。ザーッ、ザーッ。
とうさんかあさんのいうこときかないには、カミナリおとすぞ、
おへそをたべてしまうぞ。カミナリ三日みっかならしちゃうぞ。
 あれ、ろそれろ、あわてておへそかくしたり、
みみをおさえてうらめしそうに、おいらがなりやむのをっているぞ。

 みんな、おいらをきらいなんだな。
おいらは、みんなのきらわれものなんだな。
 どうしてかなぁ、おいら、わるいことなんかしてないのにあ。
ひかれいなずま、それけ、ゴロゴロ、ドカーン。
カミナリおとすのも、つかれます。
 もうやめようかな。また、どっかへこうかな。
おへそのおいしいくにってあるのかな。
カミナリのすきなひとって、いるのかな。
いるようなもするけど、やっぱりいないだろうな。
 おいら一生いっしょう、きらわれどうしですごすことになるだろうな。
なんだかおいら、かなしくなって、うっかりカミナリおとしてしまっちゃった。
ゴメンネ。もう、おとさないから。
さよなら、さよなら、おへそたいせつにしまっておいてね。
 カミナリった、そのあとにゃ、カンカンカンタロ、
おひさまが、きんのつばさをひろげていうのです。
「もう、おへそをだしてもいいよ」って。
 なつ太陽たいようおへそにあびて、ふっとおもえば、
あのカミナリもどこへったか、
どこかでカミナリおとしているのやら、
なんとなくなつかしくなったりするのです。

(昭和六十年六月 岩手日報夕刊に掲載)