だい11 あまガエルのうた
 ことしうまれたあまガエル。
そらゆうやけ、あしたはれなのに、おもわずゲロゲロガッガッと、ないてしまいました。
 どうしよう、どうしよう、こまってしまったあまガエル。かぜさん、雨雲あまぐもよんできてくださいな。
つきさま、そんなにわらってばかりいないで、くものあいだにかくれてくださいな。
 あまガエルは、いのりました。
ゆうやけぞらがあんまりきれいだったので、おもわずないてしまいました。
 ゲロゲロガッガッ。
 あしたあめらなかったら、こんなっちゃなあまガエルのことなんか、このさきだぁれもしんじてくれないでしょう。
 あまガエルは、とうさんかあさんガエルのことをおもいだしました。
とうさんかあさんガエルは、めったになかなかったけれど、なくとかならずつぎあめでした。
 どものカエルとしては、とうさんの目玉めだまがもうすこちいさくて、かあさんのおなかがもうちょっとへこんでくれたら、
もうぶんないとおもっていたけれど、正確せいかく天気予報てんきよほうガエルだったってことが、いまになってしみじみわかったのでした。
 それなのに、このぼくは、さいしょのひとなきから大失敗だいしっぱい
あめは、つぎも、そのまたつぎらなかったのです。

 ひからびたっぱのうえにのっかって、なかやくにもたず、ただきているだけ、
あまりのかなしさにあまガエルは、ないてしまいました。
 ゲロゲロガッガッ。
つぎあめりました。
っぱのうえあまガエル、うれしくなってなきます。
 ゲロゲロガッガッ
よかったねゲロゲロガッガッと、とうさんかあさんガエルのよぶこえが、どこからかきこえてくるような、
きょうはそんなあめです。

(昭和六十年五月 岩手日報夕刊に掲載)